『悪霊』第三部htmlバージョンを掲載しました。


http://kekeo1964.web.fc2.com/akuryohtmversion.htm


今回も修正点がありました。第二部で「週に五日」は女工以外にカフェの女給として働いていると言っていた喜代美が、第三部では、「週に半ばくらいは女給をしていた」という設定になっていました。こういう細かい設定って見落としがちで、私はふだん、そういう矛盾をチェックする仕事をしているものですが、自分で書くとなるとほんと、話が違ってきます。前にも書きましたが、html版をつくることで、そうした矛盾を消していければと思っています。

ちなみに、第三部の最後に流れてくるデモ隊の労働歌の動画がありますので、貼っておきます。




ちなみにこの労働歌、替え歌がありまして、なぜか『歩兵の本領』という軍歌になっています。




また、『悪霊』の後半に出てくる青年将校や右翼団体の国家改造運動(いわゆる昭和維新)のテーマソングともいうべき『昭和維新の歌』も、『起て万国の労働者』を短調に変えたような歌なんですね。




『悪霊』でも書きましたが、戦前の国家改造運動ってどこか社会主義運動と共通する部分があると思います。どちらも特権階級を滅ぼして格差是正を目指していましたから。それともうひとつ、「天皇制」をなくそうという考えは、どちらにもありませんでした。戦前の社会主義運動は、天皇制打倒を口にするまでには至ってなかったんですね。私自身は天皇制擁護だということはすでに述べましたが、一方で、天皇制をどうするかまで踏み込まなかった戦前の共産党や、重臣を多数殺害しておきながら、あとは天皇陛下が認めてくれるはずだと甘えていたとしか思えない2・26事件の青年将校たちに煮え切らないものを感じていたのも事実。だから私が代わって、『悪霊』というフィクションのなかでやらかして差し上げたわけです。