というわけで、『悪霊』第五部、htmlバージョンを掲載しました。

http://kekeo1964.web.fc2.com/akuryohtmversion.htm


江戸川という探偵小説家やら、「清朝の王女」やら、坊主頭の田中少佐やら、第四部の石原中佐に引き続き、実在の人物をモデルにしたキャラクターがにぎやかに登場し始めました。実在の人物を架空のキャラに絡ませるのは、山田風太郎なんかがよく使っていた手法です。

で、この頃、私がぼんやりと小説の行く末として思い描いていたのは、伊集院満枝が北海道の広大な私有地に、女尊男卑の王国を築き、それが崩壊していくという顛末でした。白状すると、この物語のモチーフの一つである「大菩薩峠」に登場する大金持ちの娘・お銀さまという魅力的な女性キャラが、伊吹山中に「絶対平等」のユートピアを建設するものの、やがて内部で生じた矛盾によって崩壊していくストーリーをなぞろうとしただけなんですけどね(パクリともいふw)。
だから、満州国を建国する石原中佐や、『パノラマ島奇譚』という大傑作をものする探偵作家を登場させて、後の伏線にしようとしたのですが、いやはや、もののみごとに、そうはなりませんでしたw
(ちなみに、『パノラマ島奇譚』は、むかしテレビ朝日で大人気だった、天知茂演じる明智小五郎シリーズの『天国と地獄の美女』という大傑作として映像化されています)




その一方で、このあと、わりと地味な存在ながら、安西小百合の同伴者としていつづけた悦子が、最終回で重要な役目を果たしたのは、これまた構想外でしたけど、当初思い描いていた「女尊男卑の王国」なんて、21世紀に『家畜人ヤプー』じゃあるまいし的な発想にならなくて、よかったと思います。