というわけで、『悪霊』htmlバージョンを、すべて掲載しました。同時に、pdfバージョンの修正も終わりました!


http://kekeo1964.web.fc2.com/akuryohtmversion.htm


なんか、やっと終わったんだなって感じですかね。何はともあれ、七年がかりで、長い中断を挟みながら書き続けてきた物語ですから、感無量です。

最終回のタイトルを「ディア・シスターズ!」と、この回だけカタカナにしました。一応、第一回とこの回だけ使われる言葉「S」(戦前の女学生が、百合の関係をさした隠語)にひっかけていますけれど、改めて読んでみますと、自分はほんとうに姉妹(シスター)関係に憧れているんだなと感じました。
前回の記事でも書きましたが、私は女たちが力を合わせて巨大な力に立ち向かっていくお話が好きなんですね。特に韓国映画では、反発し合っていた同士が次第に絆を深めていく過程を、相手を名字で呼んでいたのが、いつの間にかオンニ(姉さん)と親しみをこめて呼ぶようになっていくのが、感動ポイントだったりします。

その意味で言うと、今回、ヒロインたちをうまく、いくつかの疑似姉妹関係的グループにわけて着地させたな、と思いました。朝鮮半島の戦地でこれからも暴れまくるだろう伊集院満枝と李麗姫・韓愛子の三姉妹。弘前で赤十字が設けた避難民地区を守ろうとする安西小百合と磯田悦子の姉妹。彼女らをサポートして戦うことを決意した飯島喜代美と猪俣佐和子の姉妹。奈良では、これから母親的存在の西川八重子宮司の下で、佳代と金沢文子がいっぷうかわった姉妹関係を作っていくでしょう。途中で亡くなった海老沼千恵子も猪俣佐和子の妹分として幸せだったろうし、あえてその後の運命を曖昧にした外山澄江も、最後の最後に、安西小百合に対して姉貴分として振る舞いました。いちばん悲劇的な最期を迎えた篠原ヨシは、どちらかというと伊集院満枝の疑似母親になるのでしょうか。

要するに、私の中にある百合成分をある程度満足させることができた一作でした。次回作は、男女の関係性をテーマに置こうかな。過去作でいうと、「女の一生」とか「私の国会議員」とか「私の名前はエイミー・キム」みたいな。私はSMの趣味がないので、金蹴りをテーマにしてしまうと、どうしても女同士が絆を結んで男を拒絶するというお話が多くなるのですが、いいアイデアが浮かべば、書き出そうと思っています。